

まとめ)2025年度 第3回コメディカル在宅医療推進協議会
東山医師会2025年度第3回コメディカル在宅医療推進協議会報告
2026年2月14日ウエスティン都ホテル京都にて54回目となる会を催しました。出席者はコメディカル35名、東山医師会4名でした。
京都府医師会理事 医療法人 ふじた医院 藤田 祝子先生にご講演頂きました。
テーマは 「在宅医療における感染症について 〜医師の立場からお伝えしたいこと」 でした。
1.高齢者の住まい
有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅が増加し、高齢者向け住宅のニーズに対応しています。特に大都市においては民間が主導し、料金設定も含め多様なニーズにこたえるようになっています。
2.東山区の医療、介護の現状
東山区は高齢化率が京都市内で最も高くなっています。また、独居、老老世帯が多く75歳以上の人口割合も高くなっています。医療、介護は区内で完結せず隣接する他区と連携して行われています。在宅医療のニーズは多いものの医師、訪問看護師の実働負担が多くなっています。介護に関してもヘルパー、ケアマネージャー不足の慢性化、施設の不足も起こっています。
3.介護現場における感染対策
在宅、介護現場の感染症は隔離が困難です。家族などが媒介者になる可能性があるとともに、日常生活と医療行為が混在しています。感染対策の、1つ目の柱となるのは病原体の排除です。病原体の存在するところに触れた場合は必ず消毒します。2つ目の柱は感染経路の遮断です。病原体を持ち込まず、広げず、持ち出さないことを心がけます。3つ目の柱は宿主の抵抗力の向上です。予防接種もこれに含まれます。
4.感染症各論
発熱を診察する際に想定すべき原因として確立の高いものとして感染性では肺炎、術後感染、CD腸炎、尿路感染、ライン感染があります。非感染性では魏痛風/痛風、肺塞栓/深部静脈血栓症、薬疹/薬剤熱があります。主訴、所見に基づく熱源想定は必要です。インフル、ノロ、COVID -19など季節ごとの流行を考慮する必要があります。また、個別に免疫不全、手術部位、すべての留置デバイスは考慮に入れる必要があります。高齢者のコモンな感染症として、呼吸器、尿路、皮膚軟部組織の感染症があります。まず肺炎の主な起炎菌として肺炎球菌、インフルエンザ菌、モラクセラ・カタラーリス、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラなどが考えられます。また、口腔内常在菌全般も起炎菌として考慮する必要があります。肺炎治療では、まず定型、非定型肺炎では点滴では@セフトリアキソン、Aミノマイシン、またはキノロンを、内服の場合には@オーグメンチン+サワシリン+Aミノマイシンまたはキノロンを使用します。次に誤嚥性ではA/S,CMZ、黄色ブドウ球菌ではCEZ、緑膿菌ではCEPM,PIPC/TAZを使用します。
高齢者に多い誤嚥性肺炎について考えます。誤嚥性肺炎は嚥下機能低下により反復する慢性緩徐進行性の症候群のようなイメージです。誤嚥性肺炎は予後が悪く、フレイルは誤嚥性肺炎の強力な予後予測因子となります。ただし、誤嚥性肺炎では弱小の雑菌であることが多く、経口ならアモキシシリン、点滴ならアンピシリンなどを数日投与するだけで十分なばあいもあります。キノロンはクラビット、ラスビックなどよく使われることがありますが、
@耐性菌を生みやすい
A副作用が重篤なことがある
B軽症感染症には強すぎて、常在菌を破壊しやすい
C最後の切り札に残しておきたい場面がある
などの理由で最初には使わないほうがよいそうです。
次に誤嚥性肺炎の支持療法についてです。誤嚥性肺炎発症後は早期に経口摂取を進めることが重要です。早期に経口摂取を再開することで入院期間の短縮につながります。食事を安全に再開するためのポイントです。
@気道は喀痰でおおわれていないか
A酸素化は十分におこなわれているか
B意識レベルは十分に覚醒しているか
C口腔内衛生は保たれているか
以上を踏まえ早期に食事再開することで、栄養状態も改善し、死亡率低減にも影響します。一方、胃瘻造設による生命予後改善効果は不明です。高齢者ケアで最も大切なことは本人にとって残された時間を快適に過ごせることなので、多職種カンファレンスを行って方針を決めるべきです。
他方、誤嚥性肺炎に限らず、高齢者の感染は状態を悪化させることになるため、予防接種がすすめられます。
肺炎の他にコモンな感染症には尿路感染、皮膚軟部組織感染症が挙げられます。尿路感染ではセファレキシン、ST合剤、オーグメンチンを、使用します。軟部組織感染の起炎菌はブドウ球菌、連鎖球菌が多いことから、セファレキシンから開始していきます。
5.まとめ
在宅、介護現場でも基本となるのは標準予防策で、できることを確実に行うことが大切です。
以上のようなことをお話いただきました。普段忘れがちなことを体系立ててお話いただいたので大変興味深く聞かせていただきました。
参加の皆様も同じ思いだったことと思います。
本年度の協議会は今回が最終でしたが多くの方々にご参集いただきありがとうございました。
来年度もよろしくお願いいたします。
在宅医療担当理事 田中愛子
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