まとめ)2025年度 第2回コメディカル在宅医療推進協議会




東山医師会 2025年度第2回コメディカル在宅医療推進協議会報告


去る2025年10月25日第2回コメディカル在宅医療推進協議会を開催いたしました。
今回のテーマは在宅介護における排尿についてです。
 京都第一赤十字病院泌尿器科部長、三神一哉先生、同じく京都第一赤十字病院、皮膚・排泄ケア認定看護師、小原優子様のお二人にご講演頂きました。
1題目は三神先生より「みんなの排尿 在宅患者の排尿障害」というテーマでご講演いただきました。下部尿路には蓄尿と排尿という2つの機能があります。それぞれは内外2つの尿道括約筋に対し、神経が適切に働くことによりうまく蓄尿、排尿をコントロールしています。ところが、この神経支配が何らかの原因で障害されると、蓄尿障害であれば、尿失禁、頻尿がおこり、排出障害であれば、排尿困難がおこります。蓄尿障害は膀胱機能障害、膀胱刺激症状、認知症・ADLの低下、尿閉・高度残尿が原因として考えられます。
過活動性膀胱(OAB)も蓄尿障害の1つで、尿意切迫感と必須とする症候群です。過活動性膀胱症状スコアで評価して尿意切迫があれば、過活動性膀胱と言えますが、膀胱癌や結石など基礎疾患の除外が必要です。
 高齢者では尿失禁は日常的に経験することで、日本では400万人の高齢者が尿失禁を有しています。
 尿失禁は、蓄尿障害によるものとして、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、機能性尿失禁が、排出障害によるものとして、溢流性尿失禁があります。
 高齢になると、尿路に関する訴え、症状は多岐にわたり増えていきます。その1つに残尿があります。残尿が増えると機能的膀胱容量が減り、頻尿になります。尿閉からは水腎症がおこったり、感染が起こったりし、さらに膀胱機能が悪くなります。
 排尿障害に関連し、見逃したくない疾患として膀胱癌、前立腺癌、膀胱結石があります。膀胱癌の発見契機として主なものに肉眼的血尿、繰り返す膀胱炎用症状があります。
 次に排尿障害の薬物療法です。過活動膀胱の治療薬にはβ3作動薬のベタニス、ベオーバや、抗コリン薬のベシケアなどがあります。β3作動薬は膀胱容量の増大、抗コリン薬は異常な膀胱収縮の抑制を目的とします。
 前立腺肥大症の治療薬に、α1遮断薬を用いますが、女性の尿閉塞症状にも同じくαT遮断薬のウブレチドが第一選択薬として用いられています。
排尿コントロールが困難なときには尿道カテーテルの留置が行われます。留置が許容されるのは次の状態です。
N:Neurologic (spinal/pelvic)trauma 神経外傷後の患者
O :Obstruction/retention 尿閉がある患者
T:Tenuous 脆弱な患者(致命的なうっ血性心不全又は急性腎障害
U:Urologic Surgery 泌尿器科周術期の患者
B:Bed sores and incontinence 褥瘡があり、尿失禁で創汚染の可能性がある患者
E : End of life 終末期の患者
 そのような場合であっても、カテーテル関連尿路感染症(CAUTI)を引き起こす可能性があるため出来るだけ留置が短期になるように心がけます。入院患者であっても在宅患者であってもカテーテルフリーをめざします。
排尿障害は様々な原因があり、その中には見逃してはならない疾患も隠れています。また、治療の方法も薬物療法から手術治療まで様々あります。
 次に、第一赤十字病院小原優子様より在宅での排尿障害ケアにつき、ご講演頂きました。在宅では入院中と違い、常に介護者の目が行き届いているわけではないので、積極的に問診(排尿だけではなく、ADL,認知症についても)、観察を行います。情報を集めた上でそれに従い、個々の対象者にあった膀胱訓練、排尿誘導を行います。更に、排尿自立支援としてトイレ環境の工夫、排泄用具の工夫を行うことで生活を活性化、自立度を高めることが出来るようになります。
 また、介護保険制度に基づき、特定福祉用具を購入できるサービスもあります。
 特定福祉用具;腰掛便座、自動排泄処理用具の交換可能部品、簡易浴槽、入浴補助用具、移動用リフトの釣り具の部分、排泄予測支援機器など。
 これらを利用し、在宅でも快適に排尿の支援、ケアを行っていきます。
 以上、2つのご講演をいただき、身近な問題ではありますが、系統だって聞く機会のない排尿ケアについて理解を深めることが出来ました。
 今回の出席者は医師6名、コメディカル34名の計40名でした。ご出席いただきありがとうございました。次回は2024年2月14日の予定です。

在宅医療担当理事   田中愛子


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